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唐澤貴洋 無能 詐欺師 幼女好き (アウアウケーM)
2025/03/22(土) 21:53:37.16 ID:Oawzq4RSM
月影の別れ
山岡裕明は、バーのカウンターに座り、ウイスキーのグラスを手に持ったまま苛立ちを抑えきれずにいた。氷が溶ける小さな音が静寂を切り裂き、薄暗い店内に流れるジャズが彼の心を掻き乱していた。隣に座る山本祥平は、静かにその様子を見つめていた。バーの柔らかな照明が、彼の穏やかな瞳に温かい光を映し出していた。
「もう我慢ならねえよ、祥平」
山岡の声は低く、怒りと疲れが混じり合っていた。
「今日もあの無能のせいで、俺が尻拭いだ。書類は穴だらけ、法廷じゃ的外れな主張を繰り返して…正義を語るどころか、クライアントを裏切ってるようなもんだ。あの無能に、俺の人生を浪費させられるなんて耐えられねえ。俺、クロスを辞めるよ」
彼はグラスをカウンターに叩きつけるように置き、深く息を吐いた。「無能」と呼び捨てるその同僚は、法律事務所クロスを構成する3人のうちの1人――山岡と山本を除く唯一の仲間だった。小さな事務所で、山岡と山本が力を合わせて案件を切り盛りしてきたが、無能の存在が全てを台無しにしていた。山岡は山本の方へ向き直り、声を少し柔らかくした。
「祥平、お前はどうだ?俺と一緒に来てくれねえか。二人なら、あの無能抜きで、もっとまともな未来を作れるさ」
山本はしばらく黙っていた。グラスを手に持ったまま、氷が溶ける音に耳を傾けているようだった。そして、ゆっくりと口を開いた。
「裕明、俺もクロスを辞めるよ。でも、お前と一緒には行かねえ。俺には俺の道がある。あの無能から離れて、自分の正義を追い求める別の道がな。お前とは違う方向になるけど、俺ももうあそこで腐りたくねえんだ」
山岡の胸に切なさが広がった。山本がクロスを去る決意に安堵しつつも、別の道を選ぶ言葉に寂しさが込み上げてきた。3人で始めた小さな事務所だったが、無能の重荷に耐えきれず、二人の絆だけが支えだった。山岡は立ち上がり、山本の肩に手を置いた。
「祥平、お前らしいよ。頑固で、まっすぐで…だから俺はお前が好きなんだ。道は違っても、お前が幸せならそれでいい」
山本は目を上げ、山岡を見つめた。その視線には、別れの哀しみと、互いを認め合う深い信頼があった。バーの窓から差し込む月光が二人の姿を照らし、月影が床に長く伸びて揺れていた。まるでその光が、無能に縛られた過去からの解放と、二人の別れを静かに見守っているかのようだった。
そして、山岡は抑えきれなくなった欲望と感情を吐露した。
「祥平、最後に…抱いてくれよ。お前とセックスしたいんだ。最後に一度だけ、お前を全部感じたい」
その声は震え、切実な渇望が込められていた。山本との絆は、無能に汚された日々の中で唯一純粋なものであり、別れを前にしてなお、彼の心と体を熱く焦がしていた。
山本は一瞬目を伏せ、静かに立ち上がった。そして、山岡に近づき、彼の頬にそっと手を添えた。
「裕明、俺にはそれができないよ。でも…これだけは」
そう言うと、山本は山岡に優しくキスをした。柔らかく、温かく、愛情に満ちたキスだった。月光の下で交わされたそれは、肉体的な結びつきを超えて、二人の心をつなぐ最後の贈り物だった。
山岡は目を閉じ、そのキスを全身で受け止めた。唇が離れると、彼の目には涙が光り、満たされない欲望と別れの痛みが混じり合っていた。山本は小さく微笑み、一歩後退した。
「裕明、お前ならどこへ行っても輝けるよ。俺も負けねえからな。あの無能に縛られず、自分の道を行け」
その声は、夜の静寂に優しく響き、月影に溶け込んだ。
山岡はコートを手に取り、ドアへと向かった。振り返ると、山本がグラスを手に持ったまま、穏やかな瞳で見送っているのが見えた。彼は小さく頷き、ドアを開けた。冷たい夜風が彼を包み、クロスの重苦しい空気と「無能」の影を吹き飛ばした。山岡は自分の道へ踏み出し、山本もまた別の出口へと向かった。
二人の足音が夜の街に響き、それぞれの未来へと分かれていった。月影の下、唇に残るキスの余韻は、満たされなかった欲望を静め、彼らの心に永遠に刻まれた。クロスは無能一人を残し、静かに終わりを迎えた。
山岡裕明は、バーのカウンターに座り、ウイスキーのグラスを手に持ったまま苛立ちを抑えきれずにいた。氷が溶ける小さな音が静寂を切り裂き、薄暗い店内に流れるジャズが彼の心を掻き乱していた。隣に座る山本祥平は、静かにその様子を見つめていた。バーの柔らかな照明が、彼の穏やかな瞳に温かい光を映し出していた。
「もう我慢ならねえよ、祥平」
山岡の声は低く、怒りと疲れが混じり合っていた。
「今日もあの無能のせいで、俺が尻拭いだ。書類は穴だらけ、法廷じゃ的外れな主張を繰り返して…正義を語るどころか、クライアントを裏切ってるようなもんだ。あの無能に、俺の人生を浪費させられるなんて耐えられねえ。俺、クロスを辞めるよ」
彼はグラスをカウンターに叩きつけるように置き、深く息を吐いた。「無能」と呼び捨てるその同僚は、法律事務所クロスを構成する3人のうちの1人――山岡と山本を除く唯一の仲間だった。小さな事務所で、山岡と山本が力を合わせて案件を切り盛りしてきたが、無能の存在が全てを台無しにしていた。山岡は山本の方へ向き直り、声を少し柔らかくした。
「祥平、お前はどうだ?俺と一緒に来てくれねえか。二人なら、あの無能抜きで、もっとまともな未来を作れるさ」
山本はしばらく黙っていた。グラスを手に持ったまま、氷が溶ける音に耳を傾けているようだった。そして、ゆっくりと口を開いた。
「裕明、俺もクロスを辞めるよ。でも、お前と一緒には行かねえ。俺には俺の道がある。あの無能から離れて、自分の正義を追い求める別の道がな。お前とは違う方向になるけど、俺ももうあそこで腐りたくねえんだ」
山岡の胸に切なさが広がった。山本がクロスを去る決意に安堵しつつも、別の道を選ぶ言葉に寂しさが込み上げてきた。3人で始めた小さな事務所だったが、無能の重荷に耐えきれず、二人の絆だけが支えだった。山岡は立ち上がり、山本の肩に手を置いた。
「祥平、お前らしいよ。頑固で、まっすぐで…だから俺はお前が好きなんだ。道は違っても、お前が幸せならそれでいい」
山本は目を上げ、山岡を見つめた。その視線には、別れの哀しみと、互いを認め合う深い信頼があった。バーの窓から差し込む月光が二人の姿を照らし、月影が床に長く伸びて揺れていた。まるでその光が、無能に縛られた過去からの解放と、二人の別れを静かに見守っているかのようだった。
そして、山岡は抑えきれなくなった欲望と感情を吐露した。
「祥平、最後に…抱いてくれよ。お前とセックスしたいんだ。最後に一度だけ、お前を全部感じたい」
その声は震え、切実な渇望が込められていた。山本との絆は、無能に汚された日々の中で唯一純粋なものであり、別れを前にしてなお、彼の心と体を熱く焦がしていた。
山本は一瞬目を伏せ、静かに立ち上がった。そして、山岡に近づき、彼の頬にそっと手を添えた。
「裕明、俺にはそれができないよ。でも…これだけは」
そう言うと、山本は山岡に優しくキスをした。柔らかく、温かく、愛情に満ちたキスだった。月光の下で交わされたそれは、肉体的な結びつきを超えて、二人の心をつなぐ最後の贈り物だった。
山岡は目を閉じ、そのキスを全身で受け止めた。唇が離れると、彼の目には涙が光り、満たされない欲望と別れの痛みが混じり合っていた。山本は小さく微笑み、一歩後退した。
「裕明、お前ならどこへ行っても輝けるよ。俺も負けねえからな。あの無能に縛られず、自分の道を行け」
その声は、夜の静寂に優しく響き、月影に溶け込んだ。
山岡はコートを手に取り、ドアへと向かった。振り返ると、山本がグラスを手に持ったまま、穏やかな瞳で見送っているのが見えた。彼は小さく頷き、ドアを開けた。冷たい夜風が彼を包み、クロスの重苦しい空気と「無能」の影を吹き飛ばした。山岡は自分の道へ踏み出し、山本もまた別の出口へと向かった。
二人の足音が夜の街に響き、それぞれの未来へと分かれていった。月影の下、唇に残るキスの余韻は、満たされなかった欲望を静め、彼らの心に永遠に刻まれた。クロスは無能一人を残し、静かに終わりを迎えた。